子どもがいるご家庭であれば、皆さん共通して、「自分の子どもにどんな運動、スポーツをさせよう?」という悩みを抱えると思います。
自分は運動が苦手だったからどんな運動をさせればいいか分からない。
自分がしていた運動以外のことはよく知らない
させたい運動自体ない。運動しなくてもいいよ
など色々な考えをお持ちだと思います。
筆者も子をもつ親としてどのような運動をさせようか色々な選択肢を考えます。
もちろん、子ども自身が最終的には選択することが大事ですし、尊重すべきであることが大前提ではあります。しかし、親御さんがお子さんの目に触れるものを提示したり、勧めたりすることはできます。
筆者は武道に携わっていたこと、高校が様々なスポーツの強豪校だったこと、高校同期にオリンピック選手もいたこと、元教員でいろいろなお子さんを見てきたこと、親友にスポーツ新聞の記者がいることなど、そんな背景のもと、それぞれのスポーツの良さや選び方について吟味してみました。
今回は親御さんの「子どもにどのようなスポーツに取り組ませるか」という悩みを解決すべく、色々なスポーツの選択肢と、その理由を解説していきたいと思います。
スポーツの目的と保護者の願いとの違い
まず、現在スポーツは生涯スポーツの観点から、「人間形成」、「公明正大」、「体力の保持増進」など、スポーツが人を育ててくれるという概念が根付いてきています。もちろんスポーツが人間として良い影響を与えてくれるところはたくさんあると思います。
しかし、保護者の方が思うスポーツに期待することはもっと複雑で、もっと多様であると思います。
・人に勝つことを覚えてほしい。
・そのスポーツの中で飛び抜けてプロの世界で活躍してほしい。
・生涯に渡って取り組めるスポーツに取り組んでほしい。
・偏らず、全てのスポーツで汎用が効く運動性を身に付けてほしい。
・自分がしていたスポーツをやってほしい。
・よりたくさんの人と関係を築けるスポーツに取り組んでほしい。…etc
いろいろな願いがそのスポーツに込められてくると思います。当然です。
なぜなら、スポーツの種類の選び方が、子どもの将来に大きく関わってくるのは真実だからです。
多少なりともスポーツ(他の習い事でも)に取り組んできた人なら、そこで出会う人、触れる考え方、文武の成績、進学先、就労先、本当に生き方に影響を与えていることを実感していると思います。
だから、お子さんにどのようなスポーツに取り組ませるかは、非常に大事であることが分かると思いますので、ご自分のお子さんに、どのような目的と願いをもって取り組ませるかをよく考えてスポーツを選びましょう。
子どもにやらせた方がいいスポーツの選び方
さて、色々な親御さんの願い、目的に合わせてどのようなスポーツに取り組ませるべきなのか、実際に選び方を挙げていきたいと思います。
競技人口で決める
世界的に、または日本でポピュラーなスポーツと言えるものを扱う手が一つ。
競技性よりも、競技人口が多ければ多いほどたくさんの人間と出会い、関わるチャンスがあります。より広い交友関係を築くことを見通して取り組ませたいのであれば、いわゆる人気性で選ぶのもいいでしょう。
特に、義務教育期は、家庭や学校以外で、自分を表現したり、自分の居場所を作ったり場があることは非常に重要です。いろいろな自分が見える、出せる場があることで、より多様な社会で生きていく力が付いてきます。
また、学校や家庭などで自分の居心地が悪くなっても、他に自分の居場所があった方がストレスを減らしたり、言い方が悪いかもしれませんが逃げ場があった方が子供にとっても、親御さんにとっても救われることが多いと思います。
バスケットやバレーボール、サッカーなどであれば、世界的に見てどこに行っても生涯に渡って親しめるスポーツです。イギリスやインドならクリケット、中国なら卓球など、競技人口が盛んなスポーツがあります。
日本であればサッカーや野球などプロスポーツの普及が進んでいるものは必然的に環境も整ってきますし、人口も多くいて少年団も多く設置されている傾向があります。
例えばサッカーなどの日本で人気があるスポーツは、静岡や千葉など王国と呼ばれる地域はあるものの、全国的にどこで取り組んでも強豪と呼ばれる組織があるので、多くの人と出会う環境が整っているとともに、指導者にも恵まれる可能性が高いです。
ちなみに文部科学省で言えば、日本のスポーツ人口の1位はウォーキングらしいですけどね。でも競技ではないからなぁ…。ウォーキングは習い事にならないものねぇ。プロもアマもないしねぇ。
地域性で決める
住んでいる地域に根付いたところで多くの人が取り組むスポーツに取り組ませるのもひとつの手です。
地元に根付こうと考えている方であれば、マイナーなスポーツでもその地元で力を入れている競技に取り組むこともありでしょう。
しっかりとその競技性を理解した指導者に恵まれる確率が上がりますね。ご両親が送り迎えをしたり、お子さんがその競技に取り組む上で支えやすい傾向もあります。
例えば冬のスポーツで言えば、北海道に在住であればスキーに力を入れている保護者の方も多いですよね。もっと狭い世界で言えば上川方面になるとジャンプ競技に取り組んだり道東方面であればスケート競技も人気だったりしますね。筆者もそういった学校での勤務経験がありますが、冬になるとどの学校でもスケートリンクを作って体育の時間でスケートに取り組みます。あれ大変なんだホント。
競技が強い地域はいろいろあります。知っている限り…。大体高校ですが…。
野球→大阪、東京、広島、福岡、愛知… 主要な都市にはたくさん強い所があります。でも栃木も、群馬も、神奈川も、青森も、沖縄も…どこでも強い所あるわ。全国狙える!
バスケ→能代が消えた今は、福岡、京都、福井は外せない。宮城も近年めちゃ強い。
バレー→京都、東京、福岡、愛知とかですな。
バドミントン→歴代で間違いないのは埼玉ですな。というか埼玉栄ですな。
柔道→国士舘、修徳、世田谷学園はじめ、関東勢が強すぎます。
剣道→熊本を筆頭に九州が剣道王国です。
当然今挙げた地域以外でもたくさん力をつけられる場所はありますので誤解の無いように…。
生涯スポーツの観点から決める
生涯的に運動が楽しめるように子育てをしたいという親御さんも当然多くいるでしょう。
ということは、汎用性の効く運動神経の発達を促すようなスポーツを選ぶことをおすすめします。
運動ができる喜びが分かっていないと主体的に取り組もうとは思えませんからね。
運動機能の発達に関しては、神経系が発達する5~9才のプレゴールデンエイジと、身体的に発育が著しい9~12才のゴールデンエイジというものがあるとされています。
最も著名なデータでいうと「スキャモンの成長曲線」でしょうか。
(参照:Wikibooks スキャモンの発育発達曲線svg.svg)
このことから、プレゴールデンエイジにおける大事な運動と、ゴールデンエイジにおける大事な運動は少し異なってくることが分かります。
特にプレゴールデンエイジの時期には、神経系の発達を促すためにより多くの運動に取り組ませることが大事でしょう。
歩く、走る、持つ、投げる、蹴る、跳ぶ、泳ぐ、押す、引く、転がる、逆さになる、等
あらゆるレディネスにつながる運動をさせることが大事になるわけです。
昔であれば、一日中外遊びさせて、いろいろな遊びの中でそういった機能が培われていったと昔の人は言いますが、今は野放しで一日中遊ばせることも難しい世の中になっています。
あくまで筆者の周り含めた主観ですが、習い事で多くの動きに対応しているのはやはり「体操教室」でしょうか。適度な骨への刺激を与えつつ様々な体の動かし方に取り組む点でおすすめです。
逆にゴールデンエイジでは、神経系の発達ではなく身体的な発育が一番盛んな時期ですので、どの運動を選ぶかというよりは、どれくらいの運動に取り組ませるか、ということが大事になってきます。
特に、成長痛などの成長期によく経験する痛みが出ている時期は、決して無理をさせないことです。骨の成長を妨げてしまっては、体のサイズを抑えてしまうことにつながります。特に、バレーやバスケ、陸上など、体のサイズが競技の優劣に直結しやすい分野は、気をつけた方がよいと思われます。
ちなみに、「どの年齢になっても」という視点から見るとまた一つの基準が見えてきます。例えばラグビーが好きでも、80のおじいちゃんおばあちゃんにラグビーやらせたら怖くてしょうがないですよね。あまり見たことないし。
とすると、なるべく少人数でも、高齢になっても、取り組めるスポーツを子どもの時から親しんでいけたら…。と考えるのも一つの手です。
やめてたけどまたや~ろう。という人も結構いますよね。
将来的な目線をもって継続させる
個人的には、大人になってもどういった形でその競技に取り組み続けるかを考えることも大事なことだと思います。
はじめにも述べた通り、スポーツは自分の関わる人や場所に影響します。
例えば取り組んでいる競技の先輩や指導者に進められて進学先や就職先が決まった話を聞いたことがありませんか?
その競技を続けていれば、その縁で自分の将来が方向づけられることもあります。親御さんとしてはそこまで見据えることも、考えすぎではないと思います。
あのイチローさんも小さい頃から父子とタッグで野球を突き詰めてきた例がありますよね。
蛇足ですが、自分の周りでは、「大人になったら得する」とゴルフを一緒に習う人が増えています。確かに企業戦士になるのであれば得しそう…。いろいろな将来性の考え方があるんですね。
まとめ
・子ども自身が最終的な選択をすることは大前提。
・スポーツは、子どもがその競技に取り組む目的と願いを明らかにして選ぶべし。
・競技人口、地域性、生涯スポーツ、進学先や将来性の4点から選ぶことが有効な決め方。
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