以前の記事で、働き方改革への取組方について載せましたが、記事に書いた改革の方法は、「教材研究」と「学級経営」に多くの時間を割かずとも日々過ごせる教員の方が対象になっていて限定されていました。
今回の記事では、日々の教材研究に多くの時間を割かずにすむように、どんな教科、どんな単元でも時短で授業の準備ができる方法を紹介していきます。
毎日の放課後が、次の日の準備で憂鬱にならぬような情報になればと思います。
教材研究で目標にすべきこと
教材研究を楽しむ
まず大前提として、子どもに授業を楽しんでもらわねばなりません。
授業がつまらないと子どもが学習に主体的に取り組めなくなり、そのつまらない時間の過ごし方は保護者の不信にもつながります。
子どもが楽しむ授業をしたい!と意気込む若手の教員の方は多いでしょう。近道はあります。
まず、自分が楽しめる授業を作ることです。
自分が教えてて楽しくなる授業でもいいですし、自分が子どもだったら楽しめそうという授業でもいいです。
指導主事の先生方が助言でよく話されることが多いと思いますがその通りです。自分がつまらないと思う授業は結局つまらない授業になりますし、自分が絶対楽しいだろうと思える授業づくりをすれば、先生自身が輝いて見えるはずです。
憧れの先輩教員のような授業をしたい!子どもの顔を思い浮かべてもっと笑顔が見たい!授業が上手じゃないと指摘されたことがあり、反骨心で授業を作る!
理由は何でも良いです。
教材研究のモチベーションを保つことにつながりますので、ここは大事にしてほしいです。
私が20代の頃を例に挙げると、5年生社会科の工業単元で実践発表をした時はまさにそうでした。トヨタ自動車の新しい取組を本時で取り扱おうとした時、調べていくとその産業の奥深さが分かり、どんどん楽しくなってきました。
そして、わざわざ本社の社員の方にアポをとって、追究意欲を満たすように休日を利用して愛知県豊田市の本社まで飛んでいきました。(私の所在は北海道です)
これはやりすぎの例かもしれませんが、自分が授業づくりを楽しめなければアイディアも浮かんできませんし、子どもに対して自信をもってその魅力を追求できるように提示するものを精選できません。
まずは、自分が「こうやったら面白そう」と思うものは、絶対優先すべきです。
たくさんの実践例を作る・知る
以前の働き方改革でも書きましたが、最初から教材研究を時短でできる先生はいません。
なぜなら、「よい授業とは?」という自分の中での判断基準がまだないからです。
自分でたくさん実践を積み重ねて、経験を積み、その手立てを推敲して、初めてどんな授業がよいものかという概念を作ることができます。
さらに、たくさんの実践を見に行ったり、資料をもらったりして、自分の目に触れる実践例を積み重ねていきましょう。
しかし気を付けてください。
自分の実践例だけでは多くの人の目に触れず、独りよがりな実践に偏ってしまい、向上しにくい傾向にあります。周囲からは「あの人自分の好きなことやってるけど、自分しか楽しんでいないよね。」という目で見られてしまいますよ。
実践例を集めるだけでもよくありません。その良し悪しを見極めて取捨選択する能力が培われていないうちに実践例だけ知っても、自分の実践に生かせないからです。
直接実際に授業を見ても同じです。単元を知って、本時を見ても、さほど意味はありません。
なぜなら、あなたが全く同じことをしても、違う先生、違う子どもでは全く展開が異なることが多いですし、単元を実際に自分で進めてみて初めて分かることがたくさんあるからです。
自分で作ることと、たくさんの例を知ることの努力は、若いうちには絶対に怠らないでください。
効率的に教材研究をするならば、非効率的に見える時間を惜しんではいけません。
トータル、どっちがよいかは分かるはずです。
教材研究時短法
ある程度上記の時間を積み重ねれば、時短できる方法はいくらでもあります。もしまだ実践していないことがあれば、すぐに行動に移してみましょう!
自分の「型」をつくる
私は初任者の時、指導担当の先生に教えられたことがずっと頭から離れません。
「今は型をつくる時。好きなことをやるのはそれからです。型がしっかりしていればそれは『型破り』となって見る人を惹きつけます。型ができていないうちのそれは『型無し』です。」
導入、発展、まとめの組み立て方、問題解決学習のプロセス、興味関心を生む提示、子どもの学びが見えるふりかえり等
基本的な授業の組み立て方はこうだ!という自分に合った仕組みを作りましょう。
板書からつくる、単元のゴールからつくる、本時でやりたいことを基につくる、思考判断が生きる一時間からつくる等たくさん型はあります。(詳しくはまた別記事にします。)
これができあがると、少なくとも主要四教科の授業づくりや指導に関しては、共通して当てはめられることがほとんどです。
手引きを重宝する
私の住む自治体もそうでしたが、おそらくどこの自治体でも、指導の手引きなるものが全教員に配付されるかと思います。
よく指導の手引きを「つまらない」と一笑に付す先生も多いですが、私はそうは思いません。
もちろん頭に疑問符が浮かび上がる実践例もありますが、多くの実践例は、とても考えられたものばかりです。
手引きは、基本的にはその教科のスペシャリストが集まって知恵を絞り、多くの時間をかけてたくさんの案の中から、全ての先生方が実践できるものが精選されたものです。
と考えると、自分で一から考えるより授業づくりの時間がどれだけ短く済んでいるかが分かるでしょう?
ただし先述した通り、その指導案を読んで、その先生がどのようなねらいで目標を立て、どのような意図で子どもに発問提示し、その授業を構成しているかを掴める力が必要になります。
素晴らしい実践は是非とも時短に生かしていただければと思います。
研究する時間を決める
教材研究における時間の罠は何もその内容だけが原因ではありません。
おそらく、教材研究に恐ろしい時間を割かれていて苦悩している先生方は、放課後夜遅くなってからか、家に持ち帰って準備をされている先生が多いのではないでしょうか。
教材研究をしっかりやるという名目で、このエンドレスに持ち込める状況に自分を置いてしまっていることも、時短から遠のいている原因となっています。
長い時間を掛けることがよい授業の秘訣ではありません。
必要なことに必要な時間を掛けるという考え方としっかりと分けましょう。
研究授業など自分のオリジナリティを大事にして新しいものを生み出したり、自分にしか見つけられない実践を考える時間ならまだしも、
普段の授業でそこまで時間を掛けることは不可能だと思います。
そこで、一度時間を決めて、この時間内で教材研究を終わらせる!というルールを作ってみましょう。
私はある時から、この方法を考えて実践してみました。
私は学校に着く6時半から子どもたちが来る間に教材研究をするということをやっていました。(結局勤務時間ではないwww)
とにかく夜長く学校にいる習慣を何とかしたかった私は、ここに活路を見出しました。一日の業務の中で、朝はこれ!放課後はこれ!とスケジュールを一新して、教材研究を朝にもってくることで時短に成功しました。
もちろん、その日のうちにやることをその日の朝にやるのではありません。
授業計画や単元作成のみならず、理科の事前実験や図工の事前準備等、少しずつ時間をかけるものに予定を立てて事前に行っていきます。
そうすると、放課後にやることをほぼ会議や研修のみに収められるようになってきました!
時間にすると、教材研究に割く時間は、一日一時間弱くらいでした。
ちゃんと断っておきたいのは、これを実践している頃、管理職や周りの同僚から、そして子どもや保護者から「先生の授業はねぇ…。」と言われたことはありません!
サボっていたわけではなく、しっかりと必要なことに必要な時間を掛けることが大前提です。
自分の生活スタイルに合った方法で、自分で工面できる範囲で、その時間の使い方をよく吟味してみてくださいね。
まとめ
・まずは教材研究の楽しさを知り、たくさん良い授業を知る、見る。
・時短は「自分の型をつくる」「手引きを活用する」「時間を決める」。
・特に教材研究の時間は、朝に確保するとよい!
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